ゆがんだはしごさんへのご返事

これまでのあらすじ

牧波昆布郎が書いた
妊娠中絶は殺人である。――問題は誰が殺されていて、誰が殺しているのかだ。 - こんぶダイアリー 武藤三法流華睡葬で往きたい人のブログ
のエントリについて、
ゆがんだはしごさんよりhttp://blog.goo.ne.jp/funamushi2/cmt/a1cacd867ce72895a7f9553a09c3bd43
と批判を受ける。
そして牧波昆布郎が
牧波叩かれちゃいました。ついでにレイプと中絶の関係について、疑問をぶつけてこよう。 - こんぶダイアリー 武藤三法流華睡葬で往きたい人のブログ
でご返事したところ、
続いてゆがんだはしごさんから
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/1ad78f9b6e654886546ccf7825c70442はてブ
との批判を受けました。

俺が上記の記事にブクマでイチャモン付けたのが原因で、著者がこの記事にコメント下さいました(Leiermannさんのヲチ板でタマタマ見つけたんですけどね。俺はLeiermannさんのツンデレ具合に密かに萌えてる外道なので、、

えーと。アクセス解析にリンクのログがあったのでそれをたどっていっただけです。ブクマの方(おそらくid:hashigotan)のコメント

「性暴力によって望まない妊娠が起きた場合に胎児を堕胎するのはなぜ」←犯罪者が父親だからに決まってるだろ。なぜとかイチイチ問わねえと解んねえのか?ココにも論点の挿げ替えで、加害者の肩を持つ愚か者が居る・

の方は「あー、変な人が沸いてきたなー」という程度でした。

牧波昆布郎さんは、「中絶」を、「史上最悪の殺人行為」であると述べているのです。俺は、これを問題視しています。

貴方の言葉「妊娠中絶は殺人です」は、「言葉の暴力」以外の何物でも有りません。

うーむなるほど。なぜなのでしょうか。続きを読んでいきましょう。

「妊婦の体の一部も殺されてしまう」という、肉体的な面を尊重する余り、妊婦の心理的な面に一切触れていないのは問題が有ります。

えーと、心理的な面に関してですが、

また、妊婦自身に「自分が胎児を殺した」と自責させる行為でもあります。
つまり妊娠中絶とは、胎児だけでなく妊婦の身体や心の一部までをも殺すという、

と触れています。というか、あのエントリは心理的な面に一番重点をおいているのですが。

肉体を傷付けたとしても、中絶によって、僅かでも性暴力の記憶から遠ざかる事が出来るならば、それで良いでは有りませんか。

誤解されているようですが、あの記事のどこで、あたしは「性暴力を受けた女性が中絶手術を受けること」を批判しているのでしょうか。私はそれ以前の根本的な問題、「堕胎を引き起こしているのにもかかわらず、その原因である性暴力が問題にされること」がまったくと言っていいほど無いことを問題提起しております。性暴力を非難することと、中絶経験者を非難することとは違います。
また、私はご返事関連記事に挙げたエントリにて「他人」が「他人」の中絶に介入することを批判しています。
「中絶によって、僅かでも性暴力の記憶から遠ざかる事が出来る」かどうかは疑問ですが、中絶手術によってその人が生活しやすくなるのであれば、周囲の人間も含めて他者が介入することはできないし、してはならないと考えております。

望まざる子供を抱え続けていては、その女性だって次の恋愛もままならないし、結婚だって出来ないかもしれないでしょう。

ただし、このような「周囲の偏見や差別」は改善すべきです。これは私たちひとりひとりがしなくてはならないことだと考えています。周囲や社会制度によって中絶が強要される状況は、同じく出産を強要される状態と同じで、妊婦の選択肢を狭めています。
出産するか・中絶するか。この選択については当事者以外の何者の介入も許してはならないと私は考えます。これを選択できる権利はレイプ被害者からも奪うべきではないと考えます。

該当記事のコメント欄は長すぎるので読んでません。

それは残念です。のツンデレ具合はともかく、Leiermannさんが大活躍されていますよ。

ひとりの胎児が中絶で命を失ったとして、どうしてその責任を社会全体に負わせる必要があるのでしょうか?誰に責任があるかなんて問うまでもなく、性暴力をふるった加害者に決まっているでしょう。

元々の記事を読んでいただければ分かると思いますが、

堕胎を引き起こしているのにもかかわらず、
その原因である性暴力が問題にされることは殆どありません*1

と、私は加害者の責任を問題にしています。性暴力は性暴力の問題、キャリア剥奪はキャリア剥奪の問題、障害という社会制度や偏見の問題は障害という社会制度や偏見の問題、と私はきちんと分けて述べています。
性暴力がほとんど問題にされないのは私たち一人ひとりの問題ですが、性暴力自体の罪が加害者にあることは間違いないですし、否定した覚えもありません。
「性暴力の問題が取り上げられないのは私達の問題だ!」と主張したところで、根本的な原因である性暴力の問題が問題でなくなることはありません。

じゃあ、中絶によって、少しでも忘れさせてあげましょうよ。何故、それがいけない事なのですか?

上記に記したとおり、私は中絶手術自体を否定しているわけではありません。ただし、これだけは言っておきます。
まるで中絶したら問題が解決するかのような、最悪の物言いだと思います。そんなことを考えられるのは、本人ではなく周囲の人間、つまり「支援者」と呼ばれる人々だけです。
中絶で少しでも忘れられるだなんて、よっぽどの妄言だと思います。先のエントリでも記しましたが、中絶によって(肉体的・心理的・社会的に)女性もダメージを受けます。(もちろんこれを論拠に中絶手術自体を否定しているわけではないことも、念のため付け加えておきます)
はっきりと申し上げておきますが、当事者が中絶することによって、レイプの事を「少しでも忘れられる」なんてことができるのは、周囲の人間だけです。
また、レイプ被害を受けた方の中にも「産む」ことを選択しようとされていた(る)方がいることも考慮すべきだと思います。出産するか・中絶するか、この選択において、当事者を「レイプ被害者」という分類で一からげにすることには反対です。

加害者を問い詰める事無く、社会批判に転化している時点で、貴方の発言は、「加害者の罪は、この病んだ社会全体の責任である」と同義に解釈出来ます。論点がズレてます。もっと被害者の女性の気持ちを考えてあげてください。

私は加害者の罪を問い詰めていますし、加害者の罪を問い詰めない社会も批判しています。上記で述べたように、この両方を批判することは絶対に必要です。これは「加害者の罪は、この病んだ社会全体の責任である」と同義には解釈出来ないはずです。論点がズレてます。もう少しだけでいいので私の文章もちゃんと読んであげてください。

妊娠により女性のキャリア基盤を剥奪される問題と、性暴力により中絶せざるを得ぬ女性の問題を、同列に語る根拠は何?障害者が社会で虐げられてる問題と、性暴力により中絶せざるを得ぬ女性の問題を同じ問題として語る意図が解らねえよ。オメエは何かの宗教団体か?

女性のキャリア基盤を剥奪されてしまうために中絶せざるを得ぬ女性の問題と、性暴力により中絶せざるを得ぬ女性の問題を、同列に語っちゃいけない根拠は何?社会的少数者への差別により中絶せざるを得ぬ女性の問題と、性暴力により中絶せざるを得ぬ女性の問題を同じ問題として語ることを批判する意図が解らねえよ。全部中絶経験者だけにバッシングが向けられている問題だろうが。オメエはそんなこともわからねぇのか?

貴方は、胎児を殺す行為を「史上最悪の殺人行為」と断言していますよね。この発言が、中絶せざるを得ぬ究極の選択に迫られた世の女性方をどれだけ苦しめる言葉であるか、よくお考えになったのでしょうか?

考えたうえで述べています。だからこそ「史上最悪の殺人行為」であると主張する以前に、「妊娠中絶とは、性暴力や社会制度・周囲からの圧力などによって、胎児と妊婦自身の一部が殺されてしまうという、」と中絶経験者が加害者ではないことを書いています
そして、この「中絶経験者が加害者ではないこと」は、エントリの中で私が一貫して訴え続けています。

「> 産ませなかった周囲の人間の「勝ち」みたいになって何だか非常に腹立たしいです。」
↑これは一体どういう意味でしょうか。

上記の「じゃあ、中絶によって、少しでも忘れさせてあげましょうよ。何故、それがいけない事なのですか?」への返答で述べましたので、読まれていなければご一読ください。要するに

結論は、性的被害者の心の中で下されているのです。無関係な第三者がどうこう口出し出来る話では有りません。生かすも殺すも、被害者である女性の心ひとつで決まるのです。

ということです。もちろん「無関係な第三者」には支援者と呼ばれる人間も含まれますが。

それを「大変許し難く非人道極まりない、史上最悪の殺人行為なのです。」などと、よく言えたものですね。一方的に陵辱され、人権すら奪われるかの地獄を味わった被害者の女性の最後の選択権すら奪おうというのですか。

上記で何度も述べたとおり、私は中絶手術自体を否定しているわけではありませんし。中絶手術によってその人が生活しやすくなるのであれば、周囲の人間も含めて他者が介入することはできないし、してはならないと考えております。

牧波昆布郎さんにいただいた質問は以下の通りです。皆さんも、これへの答えを一緒に考えてみてください。

  1. レイプ被害を受けた女性が中絶を希望する理由は、「犯罪者の子ども」――犯罪者という肩書きがあるから、なのでしょうか。
  2. 「産ませた犯罪者の『勝ち』」とありますが、レイプ加害者は被害者に出産させるために暴行したのでしょうか。
  3. レイプ被害を受けた女性は必ず中絶を希望するのでしょうか。中絶を希望していないのに、家族やパートナー、周囲からの圧力が、中絶を「選」ばなくてはならない状況に追い込んでいることは無いのでしょうか。


こんなアホな質問にイチイチ答えなくちゃ成らんのか?特に酷いのが、「レイプ加害者は被害者に出産させるために暴行したのでしょうか。」だな。ハァ?って思ったよマジで。お前などに、中絶問題について語る権利は無い。性的被害者を馬鹿にしてんだろ。

アホな質問とバカにされるのは心外です。


1つめの質問はゆがんだはしごさんのブクマコメント

「性暴力によって望まない妊娠が起きた場合に胎児を堕胎するのはなぜ」←犯罪者が父親だからに決まってるだろ。なぜとかイチイチ問わねえと解んねえのか?

の「犯罪者が父親だからに決まってるだろ」という言い回しが非常に気になったために書きました。本当に「犯罪者という肩書きがあるから」であれば、あまりにも「支援者と呼ばれる人々」らしいと思いましたので。


2つめの質問はゆがんだはしごさんが書かれた「産ませた犯罪者の「勝ち」みたいになって何だか非常に腹立たしいです。」という言い回しが非常に気になったために書きました。本当に文面どおりであれば、あまりにも「支援者と呼ばれる人々」らしいと思いましたので。


3つめの質問は上記にて記したとおりです。ゆがんだはしごさんのにんしきがどうであれ、上記の2つも含めて、私は決してアホなことではないと考えております。


たしかに私などに、中絶問題について語る資格は無いのでしょう。しかし私は、性的被害者を馬鹿になどしておりません。私が一つ前のエントリやこのエントリでバカにしているのは、善人面で当事者に自分勝手な正義を押し付ける「支援者」と呼ばれる人々です。
勘違いをしないでください。周囲の人間であろうが、支援者と呼ばれていようが、似たようなケースの当事者であろうが、”その”当事者本人で無い限りは、「他人」なのです。

*1:非パートナー間でのもの(多くの人が思い浮かべる強姦)など、一部は扱われることもありますが