放浪息子4巻の感想 その1

注:登場人物名の呼称は「さん」で統一しました。
これは「さん」という呼び方は、誰に対して使用しても違和感がないものだと
筆者が感じているためです。

放浪息子 (4) (BEAM COMIX)

放浪息子 (4) (BEAM COMIX)


ヤラレタ。やられてしまいました。
前回の日記(9月3日)にて、この放浪息子の最新刊について

牧波さん的には、3巻が楽しかった(瀬谷君とのデートがあったり)だけに
これから読む4巻がすんごい心配です。
恐すぎてまだ買うことすらできていません。
放浪息子よどこへ行く。


なんてことを言っていたのですが、
私はぜんぜんわかっていなかったようです。
放浪息子の真の恐ろしさを。


今巻では登場人物たちが「恋」というものをきっかけに、
さまざまなすれ違いを起こします。
(以下ネタばれですので、反転してお楽しみください)


千葉さんは二鳥さんのことを、
二鳥さんは高槻さんのことを「好き」だと思うようになりました。
というか、二人とも相手に直接表明しました。


千葉さんは二鳥さんのことを「好き」だと思っているのですが、
二鳥さんは千葉さんのことを「好き」だと思っているのです。
千葉さんの気持ちは一方通行になってしまいました。


二鳥さんは高槻さんのことを好きだと思っているのですが、
高槻さんは二鳥さんのことを「好き」だとは思っていないようです。
二鳥さんの気持ちも一方通行になってしまいました。


二鳥さんは高槻さんに「ふられ」たことで、しょんぼりしてしまいました。
高槻さんとの間に確執があるわけではありませんが、
なんとなく気まずくなってしまい、
今までのように一緒に帰ったりすることもなくなりました。


千葉さんは二鳥さんに「ふられ」たことで、がっくりしてしまいました。
千葉さんは二鳥さんに「好き」だと言いました。
でも、言われたほうの二鳥さんは困ってしまったらしく、
高槻さんのことを「好き」だということを白状させてしまったのでした。


がっかりした千葉さんは、高槻さんに会いに行きます。
別に喧嘩を売りに行くつもりはなかったのですが、
いつのまにか高槻さんのことばかりを責めてしまいました。
結局、高槻さんを本気で怒らせてしまい、
一緒に帰ったりすることはおろか、話すこともなくなってしまいました。


こうして今まで仲のよかった千葉さん・二鳥さん・高槻さんの三人は
バラバラになってしまいました。
登校するときも、休み時間にも、学校から帰るときも。
すれちがう時でさえ、なんとも気まずい雰囲気が流れます。


痛い。あぁ痛い。(キリキリキリ……)


こんな状況の中でがんばっているのが、佐々かな子ことささちゃんです。
ささちゃんはがんばりやさんです。
3人のことが大好きなささちゃんは、3人の仲が悪くなったことに戸惑います。


たしかにこの間までも諍いのようなものはあったけれど、
ちゃんと3人は仲直りして楽しく過ごしていたはずなのです。


なのに、3人は今やバラバラ。
話さない。いっしょにいない。目を合わさない。
流れる独特の気まず〜い空気。


それでもささちゃんはみんなが仲直りできないものかと色々がんばります。
基本的には幼馴染の高槻さんと一緒ですが、
二鳥さんにそれとなく相談を持ちかけたり。
友達が少ない千葉さんを一人にさせないために一緒に帰ったり。
ちょっと朝の空いた時間に、保健室へ寄ってみたり。
ささちゃんはとってもがんばっているのです。


あまりのささちゃんのがんばりやさんっぷりにもう、
牧波さんは痛みを感じすぎて死にそうです。
あまりにも痛すぎて小中学生のころのことを思い出してしまいました(イタタ;)。


今でもそうですけど、
女同士の派閥って本当に自然とできていきますよね。
気が付いたらあった、みたいな。
私はそれに乗ることをしない/できないタイプの人間だったので、
小中学生の頃は本当にひとりで苦しんでいました(ほろり)
皆と毎日会っているはずなのに、一人だと、心のどこかで感じていました。
学校行きたくない日も多かったです。
今みたいに携帯があったら、間違いなく常時着信拒否にしていたと思います。

さすがに、リストカットまでは行きませんでしたけどね。
今でもそうですが、心やさしい人間ではなかったので。


ああ、話が逸れました。恐るべし志村貴子さん。
まぁそんなこんなでいろいろ気を遣っていたせいか、
ささちゃんが遂に発熱でダウン。学校を休んでしまいました。


ささちゃんが休んでしまったことにちょっと後ろめたい気持ちを持った高槻さんは、
千葉さんに「ささちゃんのために仲直りしよう」と持ちかけます。
この直後の二人の会話をご覧ください。

千葉:は?
高槻:だからね
   ささちゃんの熱が私のせいかはわからないけど
   ささちゃんには迷惑ばっかりかけちゃったし
   昨日も ずっと元気なかった…
   だから
   ささちゃんのためにも仲直りしようって
千葉:(高槻の言葉を遮って)私が ささちゃんをあきらめます。
   ささちゃんの負担にはなりたくないもの
   私はひとりでも大丈夫だってささちゃんに伝えて
高槻:仲直りする気は まったくないんだ…
   ごめんね!変な提案して
(間)
千葉(モノローグ):そんなの……
   そんなの本当の仲直りじゃないもの……


さらにこじれる二人の仲。
ささちゃんが聞いてたら大泣きすること請け合いです。


どうやら千葉さんは、高槻さんの申し出を断ったようです。
千葉さんはもう、高槻さんと仲直りしたくないと思っているのでしょうか?
もちろん、違いますよね。


私は、千葉さんは高槻さんのことが「好き」なんだと思っています。
千葉さんは色々なことを考えてしまう性格です。
そのためか、よく他人とぶつかったり、他人から反感をもたれてしまいます。
(もちろんその逆に、好意をもたれることだってあります)


この理由は、千葉さんが自分の中で思っていることを
他人がわかるように伝えることをしていないからではないでしょうか。
というか、既に千葉さん自身が、
自分が考えていることを理解できていないからではないか、と思います。


仲良くしたいのに、できない。なぜだろう。
私の中だけに問題があるのだろうか。他の人だけに問題があるのだろうか。
問題があることは救いようのない「悪いこと」なのだろうか。


もし千葉さんがこんな風に考えていくことができたら、
きっと自分が求めている事がわかるんじゃないかなぁ、と思います。
もちろん<わかったこと=高槻さんを「好き」なこと>
という公式が成り立つわけではありませんが。


こういうことを子供が考えていけるように
それとなく働きかけるのが大人の役割だと、と私は思っています。
たのんますよ、保健室の先生ー(中学校に進学しちゃったから)


まぁでも、そっとアドバイスを出している千葉母さんの存在もありますから、
きっと千葉さんは自分を大好きになれると思います。


153ページ(32話の5ページ目)の1,2コマ目。
千葉さんが心の中で抱きついていた相手は、果たして誰だったのでしょうか。
中学生編に突入して、千葉さんが成長するとともに
はっきり自覚してもらいたいなぁ、なんていらんお節介を焼いてしまいそうです。


次回は二鳥真穂さんと瀬谷さん、そして二鳥さんの3人についてお話したいと思います。
できたら「中学生の制服」についてもお話しますー。
お楽しみに。