小谷野氏のキセキII

『諸君!』12月号の、小谷野敦氏と八木秀次氏、仲正昌樹氏の鼎談について、
小谷野氏の見解がid:jun-jun1965:20051104に載っているとの情報をいただきました。
ありがとうございます。


早速読みにいきましたよ。もちろん図書館に。(だって、お金もったいないし)
さーて、サクサク突っ込んでいきましょう。

小谷野 ジョン・マネーの実験の失敗をいち早く指摘したミルトン・ダイアモンド(ハワイ大学教授)が、朝日新聞東京新聞の取材に対して、「生まれつきか、育て方か一方ではなく、両方の相互作用が性を決める」といった、中途半端なコメントをしている。「大体は生まれつきで決まる」というのが正確でしょう。

「大体は生まれつきで決まる」というのが正確でしょう。
すごいです。誰が証明したのかは知りませんが、
小谷野敦だいせんせーの世界ではすでに、
「大体は生まれつきで決まる」ことが証明されているようです。
すごいですね、ビヨンダード*1の研究ですか?


残念ながらまだ地球では、性自認ジェンダー*2に関して、「氏か育ちか」は証明されてないんですよね。
たしかに、マネー氏の「双子の症例」が嘘だったことで
「18〜24ヶ月までの乳幼児の性自認ジェンダー性役割習得の基礎を含む)は白紙」
という説が怪しいということにはなりましたが。


もともと「たった一つの例で、すべてを真実だと証明することなんてできない」って教えてもらいませんでしたか?
また逆も然りで「たった一つの例で、すべてを間違いだと証明することなんてできない」って教えてもらいませんでしたか?


性自認ジェンダーに関して「氏か育ちか」という問題は未だ決着がついていません。


というか、「氏か育ちか」という問題はそんなに大切ですか?
マネー氏が間違っていたのはただ単に、彼の主張が「性自認ジェンダーは育ちで決まる」だったからなんですか?


性自認ジェンダーが「氏」で決まっていたら、何をやってもいいんですか?

それに、男児として生まれて女として育った事例は他にもあります。ただ、そのような例外的な事例を根拠に、ジェンダーは曖昧なものだと主張するのが非科学的なのです。

おおすごい。これもきっとビヨンダードの学説ですよ。
だって牧波さん、ジェンダーフリーを支持している人たちの主張の中に、
ジェンダーが曖昧なもの」なんて記述を見たことがありませんもん。
すごいぜ、小谷野敦だいせんせー!


ジェンダーフリーを支持している、というか、男女共同参画社会基本法作成に携わった大沢真理氏の著書には「似ているような気がするけど、まったく違う」文脈はありますけどね。

セックスが基礎でジェンダーがあるのではなくて、ジェンダーがまずあって、それがあいまいなセックスにまで二分法で規定的な力を与えている、けれど本当はあなたのセックスはわかりません、ということです。
(中略)
「生物としての自然というものがあるんだから、ここは絶対譲れない」と頑張る人に対しては言いました。分子生物学では今、染色体がXYでメスもあることになってるし、XXでオスもある。この頃は性転換手術なんていうのもある。不変の自然、変えられないはっきりした区分だと思われていたセックスが、実はあいまいで流動的なものだということが明らかになってきているじゃないですかと。*3

ちょっと小谷野だいせんせーはあれですよ、
ビヨンダードで研究をし過ぎて日本語わからなくなっちゃったんじゃないですかね?
早く日本語に慣れてくださる日を心からお待ちしております。

「八木という日本の悪名高い“右翼”学者があなたの学説を利用している」と吹き込まれたのでしょうか。米国では『異性愛の擁護』などという本が出るくらい同性愛論者やらフェミニストやらが跋扈していて、彼らに下手に楯突くと「右翼学者」の烙印を押されるから、不安になったのかもしれません。

小谷野だいせんせーの見解のすごいところは、
当時性科学の権威だったマネー氏の研究姿勢に対してさえ、
異議を申し立てたダイアモンド氏に対して、
「烙印を押されるから、不安になったのかもしれません」
と評価しているところだと思います。


んまあなったのかもしれませんといっていることですし、
おそらくは妄想なのでしょう。言ってみたかっただけだよねv

*1:ロックマンエグゼに出てくる単語で、別世界の意味

*2:ジョン・マネー氏の定義によるもの:id:makinamikonbu:20051117参照

*3:上野千鶴子著『ラディカルに語れば…―上野千鶴子対談集平凡社, 2001