性売る女性に寄り添う82歳相談員 売春防止法施行50年


2007年8月8日 夕刊(東京新聞

売春防止法が施行されて今年で五十年。同法に基づき、設置された「婦人相談員」の先駆者の一人、兼松左知子さん(82)は半世紀にわたって日本最大級の歓楽地・歌舞伎町を抱える東京都の新宿地区を担当、性を売る女性たちを支えてきた。今も歌舞伎町を歩き、性風俗店で働く若い女性らの相談に乗る。売春にかかわる女性の保護更生を目的に誕生した同法だが、性産業は多様化を遂げ、派遣型や出会い系サイトによる売春などが増加。兼松さんは「若い女性が迷い込みやすくなっている」と警鐘を鳴らしている。 (小林由比)


一九五七(昭和三十二)年、東京都婦人相談員となった兼松さんの最初の仕事は、新宿二丁目の旧「赤線」で働く女性たちへの支援だった。行き場のない女性たちの保護や、薬物中毒治療への同行、就職のあっせん、親族や異性、暴力団関係者とのトラブル解消−。かかわった女性は五千人を超える。


六十歳を過ぎてからは週二回、区役所などで電話や面談での相談に応じている。知り合った女性とは、時には深夜や早朝に喫茶店で会ったり、自宅を訪ねたりと、つながりを保ち続ける。


アルバイトで手にしたお金でホストクラブに行き、夢中になったホストに促されて売春に走った子。地方から上京、新宿をフラフラしているうちに、性風俗店で働き始めた子。最近は「性風俗店で働く娘を辞めさせたい」などと、親からの依頼もある。


だが、兼松さんは説教はしない。「このおばさん、けっこう話せるかも、と思ってもらわなくちゃ」。恋人、流行やおしゃれ。たわいもない話で、少しずつ信頼関係を築く。出会いから数年たって「もうあんな仕事したくない」と、滝のように涙を流して訴える少女もいた。「一緒に居続けて良かった」と心から思ったという。


売春を続けている女性は感染症などで体調を崩したり、人を信じられない、自分をダメだと決めつけるなど精神的に追い込まれることも多い。しかし、地方出身で「頼る人がいない」「親に知られたくない」などの理由でSOSを発信する人は少ない。「本当に助けが必要な女性ほど見えにくい」と兼松さん。「やめたほうがいい、と自分で思う時がくるのを忍耐強く待つしかない。大事なのは、今の彼女たちの存在を丸ごと受け入れ、本音で語りかけることね」


婦人相談員は、現在も都内で約百人が活動するが、性産業が多様化し、同法に基づき保護される女性は減った。半面、近年はドメスティックバイオレンス(DV)被害への対応などが増え、その役割は時代とともに変わりつつある。


だが、新宿には常に最先端の性産業があり、そこで心身を傷つけながら働く女性たちがいる状況は変わらない。「ふとしたきっかけで、性を売り物にする世界にはまりこんでしまった女性を支えることが、私の一生の仕事」と、兼松さんは前を見続けている。


牧波さんはこの前に売春婦の"何"が悪いのか――あのクソ野郎が侮辱してるのは職業差別なんかだけじゃないし、その売春擁護論は何かがズレてる - こんぶダイアリー 武藤三法流華睡葬で往きたい人のブログを書いたんだけど、この記事読んであの時自分が書こうとしていたことと実際に書いたことがちがってることがなんとなくわかってきた気がする(関連)。


やっぱり売春が悪いかどうかは問題じゃないんだよな。
売春が悪かどうかの皮肉なんて書かないで、kmizusawaさんにいただいたブクマコメントにあるとおり、「行為の擁護より人の擁護を」を中心に書くべきだったのかな。反省。