銀魂 第百二十訓「間違いは誰にでもある」感想:「男も女も越えた」「愛」というオブラートで、問題の核心を誤魔化し続ける柳生家に喝を入れる

今週号の週間少年ジャンプに掲載されている「銀魂 第百二十訓」という漫画の感想です。
あらすじなども添えてありますので「ジャンプ読者じゃないし、ネタバレでも構わないよ〜」という方は

ものすごくてきとうなあらすじ

 時は江戸時代(たぶん)。剣術の名門である柳生家の家督世継ぎの問題*1により、唯一の血族・九兵衛は女性の身体で生まれてながらも、周囲からは本人の意思に反し「男として」育てられた。
 男性として(少なくとも社会からの認識は)育った九兵衛はあるとき、幼なじみの志村妙を暴漢から守るために左目を失ってしまう。ボロボロになりながらも
「僕は…どうひっくり返ったって男にはなれない…でも
男よりも 女よりも お妙ちゃんよりも強くなって きっと君を護るよ」
 と静かな口調でお妙に告げる九兵衛。このときお妙は
「…私 あなたの左目になる」
 と九兵衛に応えるのだった。
 そして時は経ち。長年にわたる武者修行から帰ってきた九兵衛は、お妙を柳生家の嫁にと迎えに来る。突然の許婚宣言に人々が唖然とするなか、お妙は涙を浮かべながら「…みんな さようなら」と告げるのであった。


お妙が涙を流した理由は何なのか

今日は別エントリを書いちゃったので適当になってしまうのですけれど。すくなくともお妙の「九兵衛の左目になる」という気持ちは嘘じゃないと思うし、九兵衛の身体が女だからイヤだというわけでもないと思います。
では、お妙が何を嫌がっているのかというと。それはきっと「柳生家」なのではないかと思います。今、お妙は「九兵衛の左目になる」か「みんなと一緒にいる」のどちらかしか選べない状況に立たされています。しつこいですがどちらかしか選べないのです。
そして、お妙を二者択一の状況に押し込んでいるのは柳生家のしきたりです。この仕来りさえなければ、お妙は「九兵衛の左目になる」ことも「みんなと一緒にいる」ことも、両方とも選べるのです。


いえ、それどころか。もともと柳生家の仕来りなんてものがなければ、輿矩(父親)が世継ぎの問題で再婚を迫られることも、九兵衛が「男」を押し付けられる*2こともなかったはずです。


もし本当に「きっと君を護るよ」と九兵衛が思っているのなら。お妙自身の事もちゃんと考えてあげてほしいです。「護る」って力だけですることじゃないと思う。それはチンカス野郎共の思い上がりでしかないよ。

*1:「柳生家の家督は代々 男が継ぐようになってとる」ため

*2:その場合、「女」を押し付けられていたかもしれませんが……